スペシャルインタビュー第二弾はメロディをあやつる中尾と八谷の二人に登場してもらいます。活動休止にかかわるちょっと重たいトピックから、ジュテームでのリユニオン、そして中尾のソロ活動メンバー選定の裏事情までほかでは読めないインタビューとなりました。前回の草場&吉田編と質問がかぶっている部分もあり、併せて読んでみると新たな一面が浮かび上がってくるかも?
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■■:さっそくだけど、じゃぁ、2007年の「スマイルサークル」からの活動についてと、2008年からの活動休止状態になったころの話を訊いていきますね。
中尾:なかなか答えるのが怪しい質問だなぁ。
■■:まぁまぁまぁ、そこをなんとか。まず、アルバム「スマイルサークル」の現在の入手方法は inthesoup.net の通販だけ?
八谷:そう、通販だけ。リリースした [es] レーベルがなくなっちゃったからね…。
■■:そもそも「スマイルサークル」をなぜ自分たちで作ったのかを教えて下さい。「ヘブン」のあとにライブアルバムをだして、ライブ活動をしつつも新たな音源のリリースがない中で、自分たちで出すという選択肢はどのように決定したの?
中尾:どこも出してくれないからだよ(笑)。 5年前の話だよね。この件はハチが詳しいよね。
八谷:うーん、記憶が飛んでいる部分がある。5年前か。なんか周りの環境が、メジャーのではない状態で、いろいろ揃ってきた時期だったんだよね。出版元というか出してくれるところもうっすらとツテがあったし。デビュー前から使っていた都内某所のスタジオで録音したり、おれの友人関係でレコーディングやミックスを手伝ってくれるひともいたし。
中尾:このときはハチがすごい率先してメンバーを引っ張ってくれて。
■■:メジャーでおまかせ状態だったのが、ドロップしたあとに自分たちの環境が整いつつあったのが「スマイルサークル」に繋がったと。
八谷:そう。メジャーのやり方じゃなく、出してみるのもおもしろいんじゃないかと。
■■:そしてリリースした後に年々ライブ活動が少なくなっていったのは、モチベーションが上がらなくなっていったとか?
八谷:そうだねー。お互いのテンションも若干違うし。
■■:じゃぁ、その、…冷めていったメンバーは誰? 戦犯を見つけるようでアレだけど(笑)。
八谷:いや、でも、戦犯は俺じゃん? 大阪に移住して結局東京で活動できなくしたのはおれだし。
中尾:でもいま思えば、ハチがそうやって引っ張っていってた時に僕とかは引っ張られるばっかりで何もしなかったちゅうのはあるね。だいたいずーっとそれで来たから。それはやっぱり良くないなちゅうのはあって。
■■:八谷さんに甘えてた分、ツケが回ってきたというか。
八谷:あ、でも、4人にはそれぞれの役割っていうのはあって。吉田くんは吉田くんでバンド内のモチベーションを上げたり、K ちゃんは他のバンドと円滑になるように立ちまわったり、諭介はステージ上ではスゴイし。
■■:そういったいままでうまく行ってた部分にヒズミが生じたというか…。
八谷:ヒズミっていうほどのものじゃないんだけど、バンドにかけるテンションが「あ、ちょっと違うんかな?」「個人差があるんかな?」と。それで「スマイルサークル」を出した後に4人でミーティングをしてのは覚えてる。このままがっつりやっていくのか、あとは自分の仕事を持ちながら並行してバンドを続けるのかと。まじめにやっていくのかどうかをみんなで話した。
■■:それで、その答えとして In the Soup の活動が収束していったわけだけど、諭介さんは In the Soup 時代からソロでの活動と中尾諭介&ニックバッカーズがあるわけだけど、それぞれの活動の使い分けというかバランスはどのようにとっているの?
中尾:それは、…ないね。こういうこと言うとホントに無責任なヤツだと思われるんだろうけど、その時期にたまたま田中の大ちゃんに「なんか一緒にやってみようよ」って誘ってもらって「うん、いいよ」って。曲とかも使い分けられるほど才能があるわけではないから、曲が出来た時にたまたま近くにいる人に渡してっていう。
■■:ニックバッカーズに草場さんが入っているのはどういう経緯で?
中尾:下北の飲み屋で K と一緒に「どうすっぺか?」って話になって。とりあえずステージはお互いすごい好きだし、ずっとなにかやっていきたいっていうのはあったから。じゃぁやろうやろうって。
■■:そこに吉田さんがはいってこなかったのは?
中尾:吉田慎一郎? そういえばそういう選択肢は最初からなかったね (一同笑)。
■■:In the Soup の4分の3が集まるのは意識的に避けたとか?
中尾:そいうもんじゃないけど。
八谷:俺の立場は別に考えなくてもいいんだろうけど、その3人が集まるとまた、難しいね。じゃぁ In the Soup でいいじゃんって。
■■:確かにファンはそう思っちゃうかもね。おれだってそう思っちゃう。では、八谷さんはジュテームでリユニオンするまでの3年間はなにをしていたのか教えて下さい。
八谷:えーっと、ひとに教えることをずーっとやってますね。大阪で。ギターの講師というかインストラクターというか。サポートそしてステージに立つこともあったり、レコーディングやアレンジ作業とか、主に裏方に回って動いてた。
■■:その大阪で裏方として働いた八谷さんと、ステージで歌っていた諭介さんが、もちろん草場さんも吉田さんも含めてどのように In the Soup のリユニオンに繋がっていくのかを聞かせてください。このニュースがあまにりも突然で、当然ファンは嬉しいだろうけど「なんで今頃?」って思いもあったと思うのね。
中尾:これはまた答えるのが難しい質問だ (笑)。
■■:シェルター20周年の企画で誘ってもらったってきいたけど?
中尾:っていうのもあるけど、ずーっと K と話をしてて。それと、元マネージャー氏が「そろそろどうかね?」って。で、ハチとヨッシーにも声を掛けてみようかって、K からかマネージャーからかはわかんないけど、4人の意見で「じゃぁやってみようか」ってことになって。
■■:八谷さんはいったいその連絡が来たときはどう思ったの?
八谷:正直思ったのは、まぁね、そんだけ放っておいたお客さんに対してどうなんだろうという想いがあったから、そろそろ動き出す時期なのかなとは思ってた。なんの答えも出せないまま過ぎていってたんで。
■■:個人的なことをいうと、あのジュテームがバンドとしての総決算な意味合いのあるライブなのかなとも思ってた。でも、今回こうしてまたジュテームが決定したり、ツアーも決まったということはかなりの手応えがあったわけでしょ?
八谷:うん。
中尾:逆の手応えっていうのもあったけどね。歌詞が出てこなかったりして「意外とできねぇな!」っていう。なんかずっと、間髪入れずライブをやってきたもんとしては「どうだ!これが In the Soup だ!」みたいなところもあったんだけど、真逆な結果がでて…。
■■:でもチケットはソールドアウトでしたね。当日券もでないくらいの。あれは気持よかったでしょうね。
八谷:あれはすごかったね。さぁ始まりますってステージに立った時に「やっぱりステージっていいなぁ」って思ったのね。あんなにもたくさんのお客さんがありがたくもいてくれて。それは確実にそう思ったから今年のジュテームにもつながっていったと思うし。
■■:それでは最後に、二人にとって In the Soup とはどういう存在ですか?
中尾:あんまりよくわからんけど最近よく思うのは…、歳をとったのかもわからんけど…、感謝かな。感謝というかそういう気持ちが多くなったというか。歳とってるね(笑)。うーん、感謝じゃねーなぁ。いや、感謝か? なんかむかしほど余計なものがなくなって、こうしなきゃいけないっていうのが歳を取るごとになくなって、自然体でいられる。そういう場所。
八谷:たまにしか会わないけど、でも、「久しぶり」って言わなくていいような。社交辞令の要らない仲間。それが In the Soup かな。
■■:最後の最後にファンの皆さんにひとこと。
中尾:ジュテーム来てね。一年ぶりに来てね。ほっとかないでね。
八谷:ってこっちがほっといたんだけどね(一同笑)。ほんとにいつもありがとう!
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メンバー4人に話を聞いてみてわかったのは、お互いへの信頼がしっかりと存在しているということ。結成当初から現在まで築きあげてきた絆はかわることなく、歳を重ねるごとにより強く、より柔軟になってきている。10月06日のジュテームの前には東名阪のツアーも決定し、多くの人に現在の In the Soup を感じてもらう機会ができたので、このチャンスをお見逃しなく!